学校法人

聖路加国際大学

学校法人 聖路加国際病院 院長 福井次矢氏

学校法人 聖路加国際病院

院長 福井次矢氏

[PickUP!]
伝統を重んじると共に、米国の先端医療を取り入れ、米国式インターンレジデント教育制度を1933年より導入するなど、人材育成にも努めています。
海外の患者さんを対象とした英語での外来を開始したり、留学生を受け入れたりと国際病院としての役割を果たすべく、さまざまな取り組みを行っています。

TOPINTERVIEW2015

日本が誇るグローバルホスピタル、聖路加国際病院に行ってきました。
こちらの病院は、2012年7月23日、国際的な医療施設認証機関であるJCI(Joint Commission International)の認証を取得しています。認証された施設は聖路加国際病院、聖路加国際病院付属クリニック予防医療センター、聖路加産科クリニック、聖路加訪問看護ステーションの4つの事業体であり、複合医療施設の同時認証は国内初、病院としての認証取得は国内3番目となっています。そして今年、2014年4月、新たに聖路加メディローカスも認証を取得しました。
設立から110周年を経て、「a living organism=生きた有機体」という言葉があらわすように、病院が置かれている環境の変化を敏感にとらえ、より良い医療を提供するために、医療の質を継続的に改良し、先進的な教育・研究を行い、あらゆる分野で成長を続けています。様々なランキングでしばしば上位に評価され、研修施設としても高い人気の秘密を2つの視点でインタビューしてきました。

編集長

研修医1名あたり指導医数2.9人、専門研修医数1.7人(2012年度)。 この数値をみて驚いたのですが、手厚い指導体制が人気の理由なのでしょうか。

院長 福井次矢氏

当院は、1933年から米国式インターン・レジデント教育を行っていて、医師研修制度がスタートした1968年には臨床研修指定病院となっています。そしてこれまでの長い期間に当院で研修を終えた医師が、その後優れた臨床医や教育者、研究者になっているという事実が人気の最大の理由と思います。確かに指導医の数も多く、屋根瓦式にはなってはいますが、指導医の質にもよると思います。

教えるのが好きな医師、教えを受けたがる医師が、それぞれ豊富で、その医師たちで病院が保たれているとも言えます。
自分たちが持っているもの全てを後輩に伝え、教え尽くす医師がとても多い。そして教えてもらって、次は自分で教えていくという連鎖が起こっています。

編集長

研修医の応募は全科で多いのですか

院長 福井次矢氏

特定の人気のある科目はあります。最近は、インターネットからの情報で、いい情報も良くない情報も全て筒抜けです。その診療科の実力だけで選ばれるだけでなく、診療科ごとの方針と申しますか、スタッフ医師の人間性やリーダーシップで応募状況が大きく変わります。
病院の方針としては、3年目から6、7年目のシニアレジデントを積極的に採用したいと思っています。

編集長

貴院では「医療の質」に関して、院内で診療のQI(Quality Indicator)の経年変化を探り、改善の試みを2004年からされておりますが、スタート時の苦労はありましたでしょうか。

院長 福井次矢氏

当院では、2003年に電子カルテを導入しましたので、蓄積されたデータを最大限活用したいと思っていました。医師や看護師、事務部門にできるだけ負担がかからない方法で、データの収集を心がけました。
また全てのスタッフをインタビューし、どのような指標を出したらいいのか尋ねました。スタッフがやらされ感を感じないよう、そして先進諸国でどのような指標が公表されているのかを知ってもらいました。

編集長

診療の質を知ることは、医療を受けた患者の健康状態を意味するのでしょうか。

院長 福井次矢氏

多くの人はそう思われるかもしれません。しかし、医学・医療は、科学としてまだまだ不完全で発展が目覚ましい分野です。どんなに有効性のある治療も、特定の方には無効あるいは害となる場合があり、またそれを予測できないのが現状です。
ですから、医療の質を知るためには結果(アウトカム)よりもプロセスの評価が望ましいと考えています。「個人や集団を対象に行われる医療が、望ましいい健康状態をもたらす可能性の高さ、その時々の専門知識に合致している度合」という米国の権威ある研究グループが作った、医療の質の定義が広く世界で受入れられていて、それはまさしく1990年以降世界の医療を席巻しているEBM(根拠に基づいた医療)にほかなりません。つまり、EBMに則った医療をどのくらい行っているかが医療の質ということになります。

編集長

非常に吟味されたデータとなっていますが、医療現場のドクターにとって、データの収集は本当に負担になってないのでしょうか。

院長 福井次矢氏

QI関連のデータのほとんど全ては、医療情報センターのスタッフが収集しています。そのようなデータを収集するスタッフに加え、統計や解析のスペシャリストもおりますので、医師に大きな負担がかかることはありません。当院に移ってこられた多くの医師から、自分では何もしなくていいので、助かるねと言ってもらっています。集めたQI指標を分析し、いわゆるPDCA(Plan→Do→Check→Act)を繰り返すことになりますが、Act(改善)の部分については医師が積極的に介入する必要が生じます。

QIを公表することで他の医師との比較が可能になり、良いところ悪いところを知ることができ、自分の診療を考えな直す良い機会になっており、改善に対して貧欲に向かっていく医師が当院には多く素晴らしいいことだと思っています。

高齢社会の中でますます需要が高い総合診療医を日本に定着させるため、研修体制や医療改革を実行している松村先生は、もはやひとつの医療法人の総長としてではなく、日本の医療を変える「国を癒す大医」へと突き進んでいるように感じました。

編集長

向上心がある医師がたくさんいらっしゃるのですね。採用したい医師というのは、どんな医師ですか

院長 福井次矢氏

常により高い質の診療を提供しようという意欲、情熱をもっている医師です。 自分自身学ぶことに貪欲な医師は、後輩の教育にも熱心なはずです。
今や私たちが行うOI測定・公表が当然のごとく行われるようになりつつあります。
例えば、日本病院会で行っているQI Projectは、当初30病院でスタートしましたが、この数年でどんどん増え、2014年度は300を超える病院が参加する規模にまでなってきました。その旗振り役となっている当院で学ぶことで自然とEBMに則っ医療が行えるようになることと思います。
グローバルな視点からも妥当な医療であるEBMを身につけることは、将来のキャリアを考える上で、必ずや有利に働くでしょうし、エビデンスを作るための臨床研究への道も開けるでしょう。
常により高質な診療を提供しようという意欲や情熱を持っている医師は、誰からもその存在を求められます。患者さんの生老病死に深くかかわる中で、自分自身の人生を考えたり、人生の深淵を覗き見たりする瞬間が必ずあります。これからは、自分の診療を考え直す機会に恵まれることが、とても大切になるでしょう。

今回インタビューをさせていただいた中で強く感じたのは、病院全体の学び続ける姿勢です。苦しみや困難を抱える患者さんのために、これまで身に付けてきた知識や技術を用い、ベストなケアを提供することに全力を尽くす。その仕事の中で、専門分野を学び続け、それによって自分自身を良い方向、価値ある方向に変え、成長する集団だと感じました。さらに、ここで働くことは世界視点からの医療の在り方に思いをはせることができるということです。希望に満ちた医療従事者が、常に正面から医療に立ち向かえる労働・学習環境が揃っています。


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