MSF

国境なき医師団


SPECIALIST
国境なき医師団(MSF)日本
前会長 黒﨑 伸子

行かないで後悔するより、行ってみて体験して欲しい。

国境なき医師団日本が設立されて23年、2010年より国境なき医師団日本会長に就任した
黒﨑先生。自身も外科医として何度も活動に参加してこられた黒﨑先生に、
国境なき医師団の役割と日本の医療についてお話を伺いました。

国境なき医師団(MSF)日本

前会長 黒﨑 伸子氏

国境なき医師団(MSF)日本

前会長 黒﨑 伸子氏

現地にて

オペの様子

現地にて

こどもと

現地にて

こどもと


SPECIALIST STEP UP
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編集長

まずは国境なき医師団(以下:MSF)の概要についてお聞かせください。

院長 浅田義正氏

MSF日本は今年で設立24年目を迎えます。みなさんの認識としては「海外で医療活動をしている」という程度の認識かもしれません、他の団体との違いもご存知ないかもしれませんね。長年説明をしてきていますがなかなか認識されません。危ない場所で活動していると思われがちですが、それは活動の半分くらいで、国民に医療サービスが行き届かないような途上国での活動もしています。特にリスクがあって他の団体が行かないような場所、残された場所に積極的に支援に行くのがMSFです。そして私たちが医療活動と同様に大切にしているのが、証言活動です。メディアが伝えない、人々から見えない場所のことを伝えるということ。医療を提供しながらも”おかしい”と思うことは世の中にきっちり発言していくことが任務だと考えています。現地では虐殺や強制移住など人権侵害を目の当たりにすることもあります。そういった医療だけでは助けられない実情を社会へ証言する。それはMSFだからできることだと思っています。嬉しいことにこの精神に賛同して参加してくれる仲間がだんだん増えてきています。私が初めて参加した2001年頃は年間派遣人数が十数人でしたが、2014年は87人延べ126回を派遣できるまでになりました。

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編集長

黒﨑先生が初めて参加された頃と比べて現地の状況など変化したことはありますか。

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当時に比べて危険な地域も増えました。
患者さんからは当時も今も歓迎されてはいますが、国際NGOのスタッフがテロ等の標的になることも増えてきました。
MSFは医療活動を始める際、その土地の住民や支配勢力と対話し、交渉を重ねることで、その地で医療活動に対する尊重と、一定の安全性を確保します。
しかし最近では、こういった医療活動に対する尊重というのはなかなか得難くなっているのが現実です。
参加する人の変化としては比較的日本人は何回も参加する人が増えてきています。
日本で行っている自分の医療行為が、医療物資もない大変な場所でも役に立てたということで充実感も得られ、そのことによって自分のキャパシティも広がり技術も向上する、人間として学ぶことが多いと感じてくれているのでしょうね。

施設内ラボ
編集長

参加したいと思いながらもあと一歩が踏み出せない人も多いと思いますが、何かアドバイスをいただけませんか。

院長 浅田義正氏

行きたいと思ったら自分で踏み込まないと何も始まらない、人に言われて変われるものじゃないと思います。ただ、いつも私が言うのは「行かないと分からない」。行かないで後悔するより、行ってみて体験して欲しいということをみなさんに伝えています。今行けなくても現役をリタイアしてから行く人もいます。 少しでも行きたいと思っているなら、参加するにあたって自分に足りない物を用意して、挑戦していただきたいと思います。医療人としてプロであることは前提ですが、次にある程度の語学力が必要になります。特に参加にあたって試験などはありませんが、やる気のある人は自分に足りない物を理解して、語学の勉強や、専門分野以外の医療知識をつけるための研修等を受けて来られますね。


編集長
04.
みなさんが気になるのは現職場との調整だと思うのですが。
院長 浅田義正氏

職場を辞めて参加するか、休んで参加するかそれは人それぞれです。 私が初めて活動に参加したのは医師になって20年目、壁にぶつかっていた頃でした。診療以外にも日常の業務に追われ患者さんと接する時間が減り、このままでいいのかと迷っていましたから、MSFの医師募集ポスターを見た時「今行かなければ!」と思い、大学病院を辞めて飛び込みました。 いつだって病院側は他の人の手前長期の休暇を申請すれば「困るよ」と言うものです。でも私からすれば日本にはたくさん医師がいると思います。海外の現場では外科医は看護師相手に一人で手術をします。日本のように助手を付けて二人や三人で手術をすることはありませんからね。 私が病院経営陣の方に言いたいのは、産休育休や介護休暇などの制度を利用することと同じように考えてもらいたいということです。同じようにその期間人員は減るわけです、経営者はもしかするとその人が復帰しない可能性も考慮して人事を考えられていると思います。 しかし、MSFへ参加する人は必ず任期が終われば帰ってきますし、必ず人として成長して、何かを得て帰ってきます。その一人の医師が職場に存在することで、モチベーションの高いスタッフが集まると思います。最近はそういう考え方をする経営者も少し出てきているように感じますね。社会のためになることをする人を応援する、そういう気持ちで是非行かせてあげて欲しいと思います。


編集長
05.
最後に同じ医療人として、日本で医療に携わる人々にメッセージをいただけますか。
院長 浅田義正氏

日本の医療はとても高度ですし、それを格差なく提供できる恵まれた環境です。いくらでも医療資源が使えます。
でもやらなくてもいい検査を患者を納得させるため、自分の保身のためにやっている傾向にあると感じます。
MSFの現場ではレントゲンも撮らずに開腹するような場面がたくさんあります。医療とは患者の顔を見て、話を聞き、診察をして、可能性のある検査をいくつかして診断していくものです。
機械やデータばかりを見ることに追われず、患者を見る力を養って欲しいと思います。 MSFの原則に独立・中立・公平ということがあります。
紛争地域などで運ばれてくる患者には兵士も大勢いましたが、断ったことはありません。
同じ命ですから全力で治療するのは医療人として当たり前のことです。ニーズがある所へ行く、頼まれれば断らない、それが私の理想の医師像です。



院長 浅田義正氏

医療資源に恵まれた安全な日本では、国境なき医師団が活動している地域の窮状は想像できないかもしれません。
しかし、彼女達は特別なことをしているとは思っていないようで、助けを求める人がいるから助けに行く。
とてもシンプルに、医療人としての信念を貫いていました。
「活動のゴールは私たちが行く場所がなくなること」だといいます。
しかし、残念ながらニーズは増えているのが現状です。
この記事が、あと一歩を踏み出せずいる人の後押しになればと思います。


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