公益財団法人

がん研有明病院


SPECIALIST
がん研有明病院
乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

新しいエビテンスを創り出す立場として
考え求め続けること


今からおよそ100年前の1908年、『がん撲滅をもって人類の福祉に貢献する』を基本理念に、癌研究会が発足しました。その後癌研究会付属病院(大塚)を経て、2005年東京のウォーターフロント(有明)にがん研有明病院として生まれ変わりました。
このがん専門病院の乳腺センター長を務める岩瀬先生に、がん研有明病院の存在意義や専門領域である乳がん治療についてお話を伺いました。

浅田レディース駅前クリニック 乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

がん研有明病院

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

がん研有明病院外観

外観

がん研有明病院

施設内ラボ

インタビューの様子

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏


SPECIALIST STEP UP
がん研有明病院の外観
編集長

がん研究・治療を専門とするこの病院の位置づけや存在意義は何だと思われますか。

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

国内初のがん専門施設として発足し、数々の実績を残してきました。今、全国にあるがん研究所などはがん研究会からスタートした施設がほとんどです。 国立の研究所と違って制限も少ないので、自由な発想で様々なことに挑戦できる部分ががん研の長所です。 日本のがん医療をどういう方向へ引っ張っていくのか、まとめていくのかということに注目されているだろうし、期待もされていると思います。 がん医療についての研究、治療、教育を牽引していくことが我々の目標です。 今ではがん治療も多くの医療機関で受けられるようになりましたので、大きな差は無くなったと思いますが、専門病院ですのでがん専門の医師や看護師が、各科に配置され最新の医療が提供されること、がん専門の研究所が付属している部分というのが特徴ですね。 逆にがん以外の病気には弱い部分もあり、大学病院のような総合力では劣る部分があるのは正直なところです。今は患者さんの高齢化でがん以外にも様々な病気を抱えておられるので、そういう点では周りの病院と連携して対応しています。

乳内・外合同カンファ
編集長

がん専門病院と一般病院の医療従事者の考え方の違いなどはあるのでしょうか。

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

大きな違いはないと思いますが、当院ではエビデンスに基づいた治療を徹底しています。ある治療が1人の患者さんには劇的に効果が現れたとしても、他の患者さんに効くとは限りません。それは1人の医師の経験値でしかありませんので、エビデンスからするとそれはとても低いレベルのもので、たまたま効果があっただけです。臨床試験できっちり確立されていて、患者さんにとって1番治る確率の高い治療法を選択しています。 がん治療は日進月歩で進化して、そのエビデンスもどんどん新しくなりますので、自分で勉強してついていかなければなりません。この辺りはがん専門病院の医療従事者は気をつけているんじゃないでしょうか。

手術風景
編集長

確立された治療法の範囲内でというのは、ある意味リスクのない治療法とも捉えられますが。

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

今あるエビデンスはきっちり習得することがまず第一、次に私たちはエビデンスを創る立場にならないといけません。
可能性のある治療については患者さんの同意を得て臨床試験を実施して新しいエビデンスを創りだすことにも積極的に挑戦しています。

編集長

エビデンスを創り出す立場として、どんな発想・意識で挑んでいく医師であれば成長していけるでしょうか。

乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

基本的にはもっといい方法はないだろうかと常に考え求め続けることでしょうね。 効果のある治療法や薬を求めること、それができても今度は副作用をなくすこと、10人中7人に効果があっても残りの3人に効果がなくていい訳がないですから、全員に効果のある方法を考えられる人です。私自身もシンプルな疑問を持ち続けないといけないなと思っています。


編集長
05
多くの医療機関の院長などは自院の医師を、がん研に留学させていることをとても自慢に感じておられ、またその医師が戻って来て活躍してくれることを本当に心待ちにしている病院が多いのですが、ここでの研修で学べることは何ですか。他の病院との差とは何でしょうか。
乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

まずは圧倒的な症例件数でしょう。やはり自分で経験することで、より早く身につきますので、限られた研修期間に凝縮して多くの症例を経験することで力がつきます。一般病院で数年かけて経験するよりも、短期間に集中して経験することはとても有効だと思います。一つ一つの症例についてはカンファレンスを実施していますので、それに参加して様々な意見や議論、今の主流やその問題点を肌で学べます。これは多くの文献を読むより、生で見て聞いて指導してもらえる方が大きな知識になります。それはがん研で学ぶ大きなメリットだと思います。 また、専門医取得のための条件を満たすにも短期間でクリアできます。


編集長
07
がんのチーム医療における医師の役割とはなんですか。
乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

残念ながら医師の役割とはほんの一部です。一番重要な治療の部分に関わってはいますが、治療だけでは患者さん全てをサポートすることは難しくて、家庭のことや職場のことになってくると、がん認定看護師やソーシャルワーカーが傍にいて悩みや相談を聞いてあげたり、精神的なサポートをすることがもっと重要になってきます。
がん専門病院にはがん治療をする医師以外にも精神科や放射線科、整形外科や専門看護師など多くの分野のプロが揃っていなければなりません。そういったメンバーが充分に揃っていることは当院の強みだと感じています。 当院で学ぶとがん治療に何が必要かということも分かるようになるので、自分の病院に戻ってその考え方や治療体制を広めていって欲しいですね。



乳腺センター長 岩瀬 拓士氏

日本のがん医療も世界レベルに近づきつつありますが、医療の進歩も早く、さらに患者も勉強熱心になり医師より詳しい患者もいる時代だと言います。
がん専門病院としてがん治療の最先端医療を提供することはもちろんですが、技術と研究を追い求めることで「冷たい病院」と思われる部分もあるため、患者さんが安心して治療を受けられるような温かみのある病院を目指したいと岩瀬先生は言います。医療技術の進歩にも人を診るという心があるからこそ患者を癒せるのでしょう。


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